浄土ヶ浜は火山岩からできた流紋岩と呼ばれる白い岩よって入り江が作られているため、外海から隔てられており波もおだやかで極楽浄土を思わせる風景です。 海水浴の季節には多くの人で賑わい、透明度も高く「日本の水浴場 88 選」や「日本の快水浴場百選(海 の部特選)」にも名を連ねる人気のスポットです。


 浄土ヶ浜の園地内は、ほとんどが火山岩である流紋岩で出来ています。マグマの粘りが強く無色鉱物であるガラスの白っぽい成分が岩石に多く入っていて、溶岩が流れた模様『流理構造』が見られます。この火山岩は火口から噴出したものではなく,マグマだまりから上昇し,地中に貫入固結した岩床が隆起侵食されて形成されたもので、全体はほぼ円形の分部を示すことから小型のラコリス状貫入岩体であろうと言われています。

 浄土ヶ浜の浜辺の石を観察してみましょう。左図の左側の石は横に流れた模様があり、右図の石は縦に流れた模様があります。溶岩の流れ流理構造です。


 ラコリスはどのようにできるのでしょうか。マグマ溜まりからマグマが上昇して地層の隙間に入り込みます。このマグマはねばりけの強いマグマで地盤を押し上げていきました。お餅のような丸いマグマが隆起して浸食、風化が始まり現在の形になったと言われています。航空写真で見ると浄土ヶ浜周辺が丸い岬のように突出しているのがわかります。

ねばりけの強いマグマの流れは地表近くで冷やされ、溶岩の流れる向きに従って縦向き、横向きの層に固まっていきます。その地層が隆起、地表で浸食され多くの場所で節理がみられます。

 それでは浄土ヶ浜周辺の地質図をご覧ください。下図のピンクの部分が浄土ヶ浜流紋岩です。そして馬蹄の形であるのが濃いブルーの原地山層、そして蛸ノ浜付近には宮古層群である羅賀層があります。この浄土ヶ浜流紋岩は柔らかく、遊歩道を歩けばわかるのですが細かい板状の岩石が剥がれ落ちているのを見ることができます。それだけ浸食されやすいのですが周りにある原地山層、宮古層が無ければ浸食が進んで単独の小島となり、さらに山の部分も浸食され低い島々として存在したことでしょう。この原地山層といった硬い岩石のおかげで浸食は太平洋側の浸食で済んだのでした。ただし地層の境には多くの場合、断層が通っていますのでその境界面で浸食が進みます。

№1屏風岩突端の切れ目が断層
№2低気圧により断層から大波が乗り越えてくる
№3削られた流紋岩        

地図の上部、北側の屏風岩と浄土ヶ浜流紋岩の境には断層が存在しています。(№1)その部分が浸食され割れ目となり、台風や低気圧で大波が発生すると浄土ヶ浜レストハウス前まで乗り越えてきます。(№2)流紋岩は浸食に弱い岩石なので波で削られて白い岩肌が現れています。(№3)


 それでは地図の下部、原地山層と浄土ヶ浜流紋岩の境を見てみましょう。まず鍬形ですが写真(№1)流紋岩が浸食され裏に張り付いている原地山層を見ることができます。余談ですが何故「鍬形」と言うのか?鍬の形をひっくり返したのに似ているからだと言うのです。鍬ケ崎の長老たちは鍬ケ崎の名前の由来だと言うのですが、私は子供たちが言う「うまづら」→馬顔、の方がぴったりだと思います。そして写真(№2)が観光船の堤防の向かいです。流紋岩と原地山層の境と言うことですがその礫岩は羅賀層に近いと感じました。断層が存在するのか層が粉砕されて低くなっていることがわかります。そして写真(№3)が龍神崎の原地山層の露頭です。三王岩の原地山層と同じですね。

№1 鍬形
№2流紋岩、原地山層境い
№3原地山層露頭

原地山層:原地山層のほとんどは著しく変質した火砕岩であり、岩質は軽くアルカリ質の輝石安山岩・ディサイト・流紋岩などであるとされている。また黒鉱 型鉱床とされる田老鉱山を伴うことも,原地山層の重要な特徴の一つである。


 浄土ヶ浜を語るためには流紋岩の「節理」の形成は重要です。以前は柱状節理も板状節理も解釈は一緒でした。つまり「岩体の冷却時の体積収縮によって節理が形成される」とあり、現在では板状節理の説明を「節理の方向は溶岩の流離面にあり、そのユニットの間隔は冷却速度に比例し,ゆっくり冷えれば間隔が大きくなると考えられている」との見解です。つまり時間をかけて冷えるほど節理(岩石)は大きくなると言うことです。細かい節理より大きな節理は浸食を抑えられます。それでは浄土ヶ浜の色々な節理を見ていきましょう。

浄土ヶ浜遊歩道にあります。

 管理人が選ぶ浄土ヶ浜の美しい板状節理、第一弾です。あえて第一位に推したいと思います。 白い表面がすべすべしてまるで人工的な美しい流紋岩の節理面をご覧ください。溶岩の流れが斜めであったり縦であったりしてその美しさに感動します。 いつまでも美しい節理面を残しておきたいと思うのですが、残念ながら上部の一部の節理面が崩れたということでした。節理のすき間に水が入り込み、それが凍って節理の溝を押し広げ、または植物の根が入り込むなど浸食を止めることは大変なことです。

2004年9月塩害による松の調査のため浄土ヶ浜の半島に上陸して撮影された写真を掲載します。国立公園特別地区のため上陸することはできません。一部は船上からドローンでの写真を掲載。

==石の廊下== 上図、石の廊下をご覧ください。黒い筋が血の池の側面に続いています。浄土ヶ浜半島の先端に行くにしたがって、流紋岩の地層は横に、そして節理面も大きくなっていきます。石の廊下付近は横に繋がった大きな節理が見られ石の廊下も、すとんと節理もろとも浸食されたものと考えられています。

№4突き当りを右に折れると!なんということでしょう(*^_^*) 浄土ヶ浜の突端にある血の池が現れました。

横方向に伸びている大きな節理の層、石の廊下はこの裏側です。血の池の底辺の石たたみは砥石浜と同じで平らなことからある意味、浸食の抵抗が少ないのかもしれません。下段の写真は砥石浜です。突端にある血の池より節理面が小さいためもろく、浸食によるすき間があるため磯カニ取りのイベントが行われたりします。

浄土ヶ浜の浜辺の隣にある砥石浜

宮澤賢治と浄土ヶ浜
血の池と大津波

青の洞窟と板状節理